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ホルモンについて:環境ホルモンによる老化

本来人間に備わったホルモンは、ひじょうに微妙なバランスの上にその作用を発揮しています。 しかし現在多くの環境問題が発生し、環境ホルモン(外因性内分泌かく乱物質)による人体への影響が懸念されています。

環境ホルモンによる人体への影響は直接的なもの、間接的なものがあります。 「ジエチルスチルベストロール(DES)や水酸化PCBはエストロゲン作用が認められています。 DESは、一九三八年イギリスのエドワード・C・ドッズが合成に成功した化学物質で、無限の可能性を秘めた奇跡の化学物質であると、 多くのマスコミや医学界が騒ぎ立てた物質です。

化学構造はエストロゲンやテストステロンとはまったくちがうのですが、人の体内ではエストロゲン様の作用を生じます。 切迫流産、早産の原因としてエストロゲン低値があるときに使用されてきました。家畜にはタンパク同化作用を期待して大量に投与され、 その結果生産効率が向上しました。

ところが後年DESを投与された女性から生まれた子供に、性器のガンや奇形が多発したのです。 女性では膣ガン、子宮形成不全。男性では停留睾丸、性器形成不全、精子運動機能の異常、精子数減少が認められました。 それ以外に原因不明の免疫疾患やガンも多く発症し、DESの評価はまったく覆されることになりました。

同じ年、スイスのパウル・ミュラーも殺虫剤として知られるDDTの合成に成功し、後にノーベル賞を受賞することになります。 しかしやがて、このDDTとDESはひじょうによく似た性質のホルモン類似物質であることがわかりました。 DDTを投与すると雄鶏が雌化して鶏冠が萎え、精巣が萎縮してしまったのです。

DESやDDTは、エストロゲンやテストステロンとは化学構造を異にしているのですが、 生体内ではそれをホルモンとして感知してしまうのです。

エストロゲンレセプターは比較的寛容なレセプターで、かなりの種類の化学合成物を感知して、ホルモン作用を生じてしまうことがわかってきました。 最近ではエストロゲンを血液内で結合して、その作用を減弱するタンパク質が発見されています。

過剰なエストロゲンは、このタンパクが結合することでエストロゲン作用を減らすのですが、 多種類にわたる化学合成物質はこのタンパクと結合できないため、微量であっても常にエストロゲンレセプターを刺激するのです。 そして生体内では化学合成物質を分解する酵素がないため、長期にわたり生体内にとどまり、蓄積されていきます。

実際ホルモンは体内にどの程度存在すれば効果を発揮するのでしょう。環境問題でよく耳にするppmは百万分の一という単位ですが、 ホルモン濃度で問題になるのはppt一兆分の一という単位、つまりppmのそのまた百万分の一の量だといえば、おわかりいただけるでしょうか。

これはヒトを五〇キロの水だとすれば、効果を発揮するホルモンは、その中に一億分の五グラムしか存在しない、ということです。 一〇万トンの水をたたえるダムにスプーン一杯五gの塩を溶かしこみ、塩がはいったことを感知するようなものです。それほどにホルモンは、 微量で効果を発揮する優れた情報伝達物質なのです。 外部の環境に体内環境の百万倍ものホルモンが存在すれば、ホルモンの混乱が生じてもおかしくはないでしょう。

ビスフェノールAもエストロゲンに似た作用を持っています。これはエポキシ系樹脂といわれるもので、 缶詰の内張りやジュースのパッケージに用いられています。またトリブチルスズのように、 アロマターゼを阻害することでエストロゲンを減少させるものもあります。 テストステロンにアロマターゼが作用して、エストラジオールというエストロゲンのなかでも最強の活性を持つホルモンができるため、 このアロマターゼが働かないと、相対的にテストステロン高値が生じます。

ダイオキシンのように、胸腺に働きヘルパーT細胞を死滅させ免疫系を混乱させたり、 ホルモン結合タンパクに結合して、甲状腺ホルモンの血中ホルモン量 を減少させるものもあります。 成長期の甲状腺ホルモン濃度の低下が、知能の低下や小人症を発生させることからもわかるように、ダイオキシンは恐ろしい化学物質です。 

現実には私たちは多くの化学物質、殺虫剤や、プラスチック、塗料、化繊衣服などエストロゲン様作用を生ずる物質の中で暮らしています。 女性の早熟、若い年齢からの更年期症状の出現、不妊。そして男性の精子減少、性器の奇形、 ガン、睾丸が陰嚢まで下がってこない停留睾丸が増えていることなどは、これに起因しているといわれています。

女性の体内でエストロゲンの優勢が続くと、本来の卵胞の成熟がないのに、脳下垂体は卵胞が発育したとしてLHサージ(LHの大量分泌) を起こし、排卵を促します。しかし卵胞が未成熟のため排卵にいたらないばかりか、排卵後に退縮した卵胞からの黄体の形成も未熟なので、 黄体から産生されるプロゲステロンが十分につくられないことになります。排卵はないのに月経は正常にある、という状態が起こります。

このように今日では、環境ホルモンが原因で日常的にプロゲステロンにたいし常にエストロゲン優位 の状態が生じているのですが、それを加速するのがストレスや不眠・不安なのです。またPCBは肝臓でのプロゲステロン分解を加速し、 相対的エストロゲン高値をつくり上げています。


先進国では一様にエストロゲン優位で生じる乳ガンや子宮ガンなどの発症率の増加がみられます。 一生の間に、エストロゲンおよびエストロゲン類似物質によって生体内のホルモンレセプターが受けた刺激に、 乳ガン発生率は正比例するといわれます。一九四〇年以降すべての先進国で、乳ガンによる死亡率が毎年ほぼ 一パーセントの割合で増加していることからも推察できるように、全世界的規模でエストロゲンの優位、 つまりおそらくは環境ホルモンの増加が生じているのです。

環境ホルモンに長期に暴露されると、女性の性の早熟や若い時期からの更年期障害の発生をきたします。 これが女性の老化を早めることはいうまでもありません。また胎生期から暴露されると、催奇性の問題を生じます。 現在多くの婦人科で行われているエストロゲン補充による更年期障害の治療も、女性の老化を早めガンを発症させる危険性があるのです。 男性の場合にも、エストロゲンに環境ホルモンが作用すると、男性としての性的衝動が抑えられ、性的に機能不全を生じる可能性があります。

デンマークのニールス・スカッケベック博士らは、一九四〇年に男性の精液一ミリリットルあたり一億一三〇〇万個の精子数だったものが、 一九九〇年には六六〇〇万個になり、四五パーセントの減少が認められたと報告しています。ここにも環境ホルモンの関与が考えられます。

また五大湖周辺でPCBに汚染された魚を餌にしたラットの研究では、生まれた仔に行動異常が生じました。 同時に甲状腺機能障害もみられました。いわゆるクレチン症を呈していたのです。 そして、この周辺に住みこの湖で取れた魚を食べた母親の子供にも、同様の症状があらわれました。 子供たちは落ち着きがなく、多動で、知能検査では明らかに知能の遅滞を示していました。

もちろんPCB以外にも原因はあるでしょう。自然界にもヒトに影響を与えるホルモンは存在し、 ヒトはそれらをうまく使って生活してきた歴史があります。たとえば大豆が持っているエストロゲン作用もその一つです。 こうした自然界に存在するホルモンは人の体の代謝機構により、一日のうちに代謝排泄されてしまいます。 自然界に蓄積されるホルモン作用物質とどう付き合っていくのか。試行錯誤はむしろこれから始まるのです。

ヒトのホルモンバランスの中心になっているのは、視床下部と脳下垂体です。この部分の情報に混乱があったり、 ストレスで正常に機能しないと、抹消でのホルモン分泌が左右されます。たとえ今環境ホルモンにさらされていなくても、 性機能分化の未熟な段階、たとえば母体内や成長過程で環境ホルモンにさらされていれば、性の混乱が生じるのです。 本来男性は男性ホルモンによって、女性は女性ホルモンによってそれぞれの性に分化していくはずなのに、 すべての生命が女性化したり、逆に男性化するという現象が起きうるのです。

男らしい男、女らしい女は次の人類繁栄のために必要なのに、環境ホルモンがそれを拒んでいるのです。 今できることは、自然の食べ物を摂取し、自然の材料でできた衣類を身に付け、 自然素材で建てられた家に住むなど、化学物質に頼らないものを積極的に取り入れていくことでしょう。 それでも少しは体に影響のある化学物質の産生を抑制できますし、環境ホル
モンにさらされることから逃れることができるはずです。


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